2008・7・17(木)
加茂野あきこさんは外国暮らしが長くまた育児に多くの時間を費やさなければならない生活の中で、中々創作活動ができませんでしたが、彼女のポテンシャルな創造の力はとても大きくて未来を期待させられるものです。優しく力強いけれど、決して甘くなりすぎない童画の世界観はひじょうに貴重なものと思われます。
もうじき双子の女の子を出産予定の加茂野さんには楽しそうなにぎやかな人生が待っておりますが、伝統の良さを内包しながら新しく誰にも真似のできない作品の誕生も、心待ちされます。
備前焼はとても人気があり本当に多くの作家の方がおられますが、天野智也さんの作品には何かとても引きつけるものがあり、初めてのお客様にも心から受け入れていただく事ができました。10mもあるのぼり窯を一人で作り、時間をかけて土を作った後に、形にし、8日間かけて焼き上げるという根気のいる作業です。若々しくシンプルな感覚と日本の伝統の美しさが融合した素晴らしい作陶展は、道行く方々も興味を持たれ、大好評でした。来年も開催致しますので、どうぞ覚えていて下さいね。
岡山の天野さんに続きまして名古屋からの茶畑さんの個展です。
茶畑さんは、人も作品もほわっと暖かくて、とんでもなくおかしな優しい人で、お会いする度に驚いたり感激させられたり笑わされたりと、忙しいのです。
どこか遠くからいらして近くのホテルに泊っている画廊の前を通りがかったおばあさんと茶畑さんの会話です。
茶畑「おばあちゃん、どこ行くん?この木の実(画廊のテラスのジューンベリー)おいしいよ。どこか探してるの?」
おばあちゃん「この辺りにおいしい食堂はあるかね?」
茶畑「何が食べたいん?」
おばあちゃん「ラーメンと餃子。」
茶畑「そうしたら天○一がいいよ。餃子もおいしいよ、餃子はこんなに大きいから(と言って手で餃子の形を作る)半分のがいいよ。」
おばあちゃん走り去りながら「青山の人は本当に親切でありがたい・・・。」
名古屋の茶畑さんの次は京都代表のくまざわのりこさんです。
ご両親が丹精を込めて作られた美しい庭に咲く植物をテーマにした作品展でした。くまざわさん達が住むまでは、荒れ果てた石ころだらけだった広い庭を年月をかけて生まれ変らせました。そんな広大な庭のある邸宅がなんと社宅なのだそうです。
くまざわさんの、刺繍糸を刺繍していくのではなく、画面に貼付けて行くという独特の手法はすでにおなじみのものですが、淡い色彩の花びらを形作るそのマチエールはあたかも 植物界と手を携えている様に、自然に息づいていています。
オリジナリティー溢れる柔らかな不思議な世界観は、男性も含めて人々を強く魅きつけます。
藤本かずみさんの展覧会は、くまざわさんの白く淡い色彩の静かな世界と対照的にビビッドでポップな色彩溢れる立体作品が楽しい気分を誘います。
細い針金に刺繍糸を多色使いでくるくると巻き付けて、それを素材として様々なものを造形していきます。椅子、靴やバッグ、鳥や動物から空の雲や野菜の形の照明器具まで作り上げます。
作品の表面を流れるテクスチュアの流線的なラインは優れた彫刻作品の様な魅力があります。夕暮れ時にはそれらの作品内部の照明が光り、空間を照らします。
田村セツコさんはご本人自身が作品です。作品の中から飛び出していらした様にファンタジックに存在されています。作品の中の少女たちと同じように普遍的に可愛らしい永遠の少女性がきらきらと周囲の人々を輝かせます。
また少女たちは大人の人々も顔負けの判断力と機知に富んでいて、その外観からは伺い知れない知恵者でもあるのです。
50年もの長きに渡り第一線でご活躍なさっている田村セツコさんの秘密を、垣間見せていただきました。
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